Nちゃんの弟

二つのミーティングのために東京に出かけたんだけど、
このチャンスにちょこっとバカンスでもしよ!と思ったところ、
Nちゃんが声をかけてくれた。
Nちゃんの弟とは仏蘭西にいたときに出会った。
彼はフランス料理を学んでいた。
彼は一つ★二つ★三つ★という高級レストランで実習をしていた。
彼の話を聞くのはけっして食すことのないだろうフランス料理の皿を想像できる楽しい時間だった。
二人で安ブラッセリーでランチを食べながら「こんな料理を作ってる」って話を聞いた。
勉強のために「こんな料理を食べた」の話を聞いた。
一皿70ユーロから80ユーロもするって聞いて目が飛び出た。
フランス料理って下ごしらえから仕込みからものすごい手が込んでて時間がかかる。
勉強のために料理も食べなきゃなんないからお金もかかる。
料理がほんとに好きなんだな、プロを歩んでるなって、彼の話を聞くと、
あの頃悶々と机上の生活をしていたわたしには励みになったし連帯意識もわいた。
で、3年ぶりにまたひとまわり大きくなってたNちゃんの弟に会った。
東京のフランス料理のレストランで働いてる。
ここまで来たんだから、いくところまでいくしかないでしょ。
彼は無口なんだけどボソっと何かを言ってくれる。
それがいつもツボにはまる。
NちゃんとNちゃんの弟と三人で沖縄料理のおばぁのところでミミガーとかいただきながら、
あの日のように彼が今取り組んでる皿を想像してた。