L'Enfant


「子ども」というタイトルのこの映画、2005年カンヌ映画金賞。監督はベルギーの兄弟リュック・ピエール・ダルデンヌLucPierre Dardenne/ジャン・ピエール・ダルデンヌJeanPierre Dardenne。彼らは1999年「ROSETTA」でカンヌ金賞に続き二度目。近くの映画館で観て来た。
http://www.festival-cannes.fr/films/fiche_film.php?langue=6001&id_film=4276922


結局、映画には音楽はいらないんだよね。ほんとにこの映画には音楽がないと思う。音楽がないってことをまざまざと見せつけられた。だいたい日常ってBGMは流れてない。BGMじゃなくって、音。人間が擦れる音がザワザワと肌にきしんでる音。道路を走る自動車の騒音も、アパートのドアを激しく閉める音も、もしかしたら赤ん坊が泣いてる泣き声だって、音楽じゃない、音なんだ。しかし音は、音を引き起こす意味の方へと人を引き寄せるだろう。特に赤ん坊が泣いてるのはただの音じゃない、声。肌に突き刺さってくる声、音。だからこの映画はものすごく日常。


登場人物はブルノ20歳とその彼女ソニア。ソニアは16歳くらいかな。二人に生まれた赤ん坊ジミー。猫のようにじゃれ合う若い、っていうか子どもたち。20歳の子ども、道ばたで暮らしてる。ソニアが病院から出てきた翌々日、ブルノは赤ん坊を売る。


道ばたの日常が目の前で淡淡と流れていく。イライラしてるこの大人子どもは、見ている者の心臓にズキズキとそのイライラを突き刺す。なんだろ、無邪気に時間つぶしみたいに遊ぶこの大人子ども、他人事じゃない。あなたの見てるこの世界があなただって言ってるようにも聞こえる。


ただそういうギリギリの崖っぷちに、
我(人間)に返る(成る)時が訪れる。
放蕩息子の帰還みたいに。
2006年1月日本公開らしい・・・。