幼子とその母を連れて

主は、子に対する権威を父に授け、子が母の判断に従う義務を定めておられる。
父を尊べば、お前の罪は償われ、同じく、母を敬えば、富を蓄える。父を尊べば、いつの日か、子供たちがお前を幸せにしてくれる。主は、必ず祈りを聞き入れてくださる。父を敬う者は、長寿に恵まれ、主に従う者は、母を安心させる。子よ、年老いた父親の面倒を見よ。生きている間、彼を悲しませてはならない。たとえ彼の物覚えが鈍くなっても、思いやりの気持を持て。自分が活力にあふれているからといって、彼を軽蔑してはならない。主は、父親に対するお前の心遣いを忘れず、罪を取り消し、お前を更に高めてくださる。
シラ書3章2−6、12−14

あなたがたは神に選ばれ、聖なる者とされ、愛されているのですから、憐れみの心、慈愛、謙遜、柔和、寛容を身に着けなさい。互いに忍び合い、責めるべきことがあっても、赦し合いなさい。主があなたがたを赦してくださったように、あなたがたも同じように赦しなさい。これらすべてに加えて、愛を身に着けなさい。愛は、すべてを完成させるきずなです。また、キリストの平和があなたがたの心を支配するようにしなさい。この平和にあずからせるために、あなたがたは招かれて一つの体とされたのです。いつも感謝していなさい。キリストの言葉があなたがたの内に豊かに宿るようにしなさい。知恵を尽くして互いに教え、諭し合い、詩編と賛歌と霊的な歌により、感謝して心から神をほめたたえなさい。そして、何を話すにせよ、行うにせよ、すべてを主イエスの名によって行い、イエスによって、父である神に感謝しなさい。妻たちよ、主を信じる者にふさわしく、夫に仕えなさい。夫たちよ、妻を愛しなさい。つらく当たってはならない。子供たち、どんなことについても両親に従いなさい。それは主に喜ばれることです。父親たち、子供をいらだたせてはならない。いじけるといけないからです。
コロサイの信徒への手紙3章12−21

占星術の学者たちが帰って行くと、主の天使が夢でヨセフに現れて言った。「起きて、子供とその母親を連れて、エジプトに逃げ、わたしが告げるまで、そこにとどまっていなさい。ヘロデが、この子を探し出して殺そうとしている。」ヨセフは起きて、夜のうちに幼子とその母を連れてエジプトへ去り、ヘロデが死ぬまでそこにいた。それは、「わたしは、エジプトからわたしの子を呼び出した」と、主が預言者を通して言われていたことが実現するためであった。ヘロデが死ぬと、主の天使がエジプトにいるヨセフに夢で現れて、言った。「起きて、子供とその母親を連れ、イスラエルの地に行きなさい。この子の命をねらっていた者どもは、死んでしまった。」そこで、ヨセフは起きて、幼子とその母を連れて、イスラエルの地へ帰って来た。しかし、アルケラオが父ヘロデの跡を継いでユダヤを支配していると聞き、そこに行くことを恐れた。ところが、夢でお告げがあったので、ガリラヤ地方に引きこもり、ナザレという町に行って住んだ。「彼はナザレの人と呼ばれる」と、預言者たちを通して言われていたことが実現するためであった。
マタイによる福音書2章13−15、19−23

生まれたばかりの子が殺される危険にあってエジプトに逃げる(命救われる)。
この話、出エジプト記モーセの誕生と並行してる。

ファラオは全国民に命じた。「生まれた男の子は、一人残らずナイル川にほうり込め。女の子は皆、生かしておけ。」
1:レビの家の出のある男が同じレビ人の娘をめとった。2:彼女は身ごもり、男の子を産んだが、その子がかわいかったのを見て、三か月の間隠しておいた。3:しかし、もはや隠しきれなくなったので、パピルスの籠を用意し、アスファルトとピッチで防水し、その中に男の子を入れ、ナイル河畔の葦の茂みの間に置いた。
4:その子の姉が遠くに立って、どうなることかと様子を見ていると、5:そこへ、ファラオの王女が水浴びをしようと川に下りて来た。その 間侍女たちは川岸を行き来していた。王女は、葦の茂みの間に籠を見つけたので、仕え女をやって取って来させた。6:開けてみると赤ん坊がおり、しかも男の子で、泣いていた。王女はふびんに思い、「これは、きっと、ヘブライ人の子です」と言った。7:そのとき、その子の姉がファラオの王女に申し出た。「この子に乳を飲ませるヘブライ人の乳母を呼んで参りましょうか。」
8:「そうしておくれ」と、王女が頼んだので、娘は早速その子の母を連れて来た。9:王女が、「この子を連れて行って、わたしに代わって乳を飲ませておやり。手当てはわたしが出しますから」と言ったので、母親はその子を引き取って乳を飲ませ、10:その子が大きくなると、王女のもとへ連れて行った。その子はこうして、王女の子となった。王女は彼をモーセと名付けて言った。「水の中からわたしが引き上げた(マーシャー)のですから。」
出エジプト記1章22、2章1−10

ヘブライ人はエジプトに奴隷として連れてこられ過酷な労働に虐げられていた。しかし虐待されればされるほど彼らは増え広がったのでその勢力を恐れたファラオは全国民に命じて、ヘブライ人の男の子を皆、殺せと命じた。そんな中、あまりにもかわいかったこの子を、政治的圧力を逃れて助けた物語がこの2章に描かれている。
この話は、モーセが成長して、エジプトで虐げられている人々を連れ、約束の地へと脱出する物語へと発展する。

わたしは、エジプトからわたしの子を呼び出した。

モーセの召命のか所を思い起こさせる(出エジプト3章)
夢で語られる、というこの象徴的表現を見逃してはならんよね。
ヨセフには、知っておくべきことがちゃんとあるわけです、うむ。
ナザレの人と呼ばれる彼、彼は何を考え、何をしようとしたのか。
ヨセフよ、よく思い出して、忘れてたら誰かに聞き出してでも思い出して。
夢で教えられるほどに大切な記憶。
虐げられた民を救うため、この人は生まれた。
そしてヨセフもまた、民を救うために生まれたこの幼子とその母を連れて、
行くべきところに行くという使命を帯びている。