久しぶりに「A」を観る

A [DVD]

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封切された時、中野に観に行った。
何度か観てみると前に気づかなかったこととか見えてなかなかいい。
今回はっとしたのは被害者の会の方が荒木広報部長に「ふつう」に話しかけてたところだった。
映像の中にはテレビ局のインタビューアーがマイクを向け、それに対してしっくりこなかったり、衝突とまではいかないんだけど、ちぐはぐなコミュニケーションの場面が幾つか現れてた。とくにNHKの女性が一生懸命インタビューをしようとするのだけど、聞かれている側から「あなたの見方や考え方でしかわたしのことを理解していない」と言われ立ち往生しているところとか、非常にドキドキする場面だった。けれども被害者の会の方は笑いながら、お母さんに一言電話してよ・・・って。そして、お母さんとも実際に会ってるという。荒木さんの顔のほころび方とか。すごく良かった。
森監督の問題意識の一つに、メディアの報道が真実を伝えているのだろうか?というのがあったと思う。監督はできるだけ真実に近づくために、彼らとコミュニケーションをとった、というのはおそらく正しかったと思う。真実を知るためには、親しくならねばならないのだ。
それが嘘ではなくて、上辺だけじゃなくて、その人から真実を語ってもらうには親しくなるということ。
いいとか、わるいとかの判断は持ちながら、その軸を確かめながら、他者の友となる。
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河瀬直美監督「殯の森(もがりのもり)」 がカンヌでグラン・プリを取った。
今日の朝日新聞、奈良で彼女がどれほど地元の方々と親密に生きてきたかを取材されていた。料理家(先生だっけか)の方がエキストラも務め、弁当も作って応援した。この方はなんとカンヌにまで訪れ、あのレッド・カーペットを歩いたという。かっこいい!!!こういう話はものすごい好きだ。町内会のおばさんが映画監督にほれ込んで、自分も出演するけどカンヌにまで行っちゃう。これすべてボランティア。葬送の行列のお坊さんはお寺のほんとうのご住職。そして、主人公うだしげきさんは奈良の古書・喫茶の店長で、大の河瀬ファン。はじめての演技。
地元の方々がたくさんこの映画によって自信を持って、自分たちの生き方を世界に理解され嬉しいとコメントされている。河瀬監督が、人も伝統もそして風景さえもその真実を映像におさめるために、どれほど彼らとコミュニケーションをとったか・・・すごい監督だと思う。
うちにはBSもないし、あっても見ないよ・・・っていきがってるけど実ははやく観たい、でも映画館で楽しみに待ってる。。。