バルト

カール・バルト『ロマ書講解』より
「神と人間との間の質的差異」について
 もしわたしが『体系』をもっているとすれば、それはキルケゴールが時と永遠の『無限の質的差異』といったことを、その否定的、肯定的意味においてできるだけしっかり見つめることである。『神は天にあり、汝は地上にいる』。この神のこの人間に対する関係、この人間のこの神に対する関係が、わたしにとっては、聖書の主題であると同時に哲学の全体である。哲学者たちは、この人間の認識の危機を根源と名づけ、聖書はこの十字路にイエス・キリストを見る。

これで、バルトが弁証法的な矛盾概念の並列による逆説的表現に終始している、のがわかるらしい。
極度に弁証法的ないし逆説的な思惟、というのは、

 「歴史的規定としては、われわれにとって既知の世界と未知の世界との間にある断絶点を意味する」。彼は人間と神との「切断線上の一点」であり、「われわれにとって既知の平面を、上から垂直に切断するわれわれにとっての未知の平面」である。イエスは復活によって神の子と定められたのであり、キリストとしてのイエスはただ「逆説」として「原歴史」として、「勝利者」としてのみ理解されるべきである。
 神の世界はイエス・キリストの復活において、われわれの世界と接するが、その接触の仕方は、「接線が円に接するように、接触することなしに接する」のである。

ということを言うらしい。

参考書
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