髪の道

karpos2006-06-18



木曜日のスペシャル番組、インドの寺院で刈られた髪の毛がヨーロッパに渡って、ヘアサロン(美容院)で再利用され、大もうけな話になってるという話題だった。
http://envoye-special.france2.fr/emissions/21772179-fr.php
↑に写真がないのが残念だけど、映像はかなり衝撃的なものだった。
で、サイトを探したら、↓こういうのがあった。
髪の毛を寺院で刈るというのは、彼らにとっての奉げの行為の一つなのだ。
http://www.indes-nepal-tibets.net/cheveux.html
寺院で髪を刈ってもらう人々は刈るためにお金を支払う。一人一人のインタビュでは「家内繁盛」とか「健康のため」とかいろいろ願掛けのためだと理由を説明していた。
で、その刈った後の髪をそこで働いてる人がかき集める。
かき集められた髪の毛は、工場のようなところに行き、洗って、長さや質を合わせて整えられる。整えて束にするところまでがインド。
束になった髪の毛は箱詰めされて、イタリアに渡る。そこにもまた工場。束にきちんと整えられた髪の毛は、さまざまなカラーに染められる。染め工場だ。金髪、茶髪、白とか赤とかいろいろ・・・。小さいプールみたいな風呂桶みたいなものが並んでてその一つ一つに各種染料入ってて、その中を髪の毛がゆらゆらしてる。
染めあがった髪の毛は、工場でさらに美しく束ねられる。束ねる時に、何本か単位でのりのようなものでくっつけられる。それでだいたいできあがり。
しかし、金髪や白髪に黒い髪の毛が混じっていることもある。そこで、染めあがった髪の毛はまた箱詰めされてインドに送り返される。その工場では、一本一本、黒い髪が混じってないかが選別される。おしゃべりしながら作業すると集中できないので、工場内は沈黙で行われている。
選別された髪の毛は箱詰めされまたイタリアに送り返される。そこで36カ国に輸出されるということになる。これがいわゆる、ヘアー・エクステンション。
ウタダの歌の中に、エクステンション髪に飾り〜っていうフレーズがありました。
ヘアーサロンでは、このエクステンションをなにか鏝(こて)みたいなもので直に髪の毛にくっつけてる。自分の髪の毛につけ髪をつけて長くするという発想。3時間のオペレーション、ある女性は900ユーロ払ってる。
そーすると写真にある映画女優のような長い髪の乙女になる。
この商売これからもっと拡がるとの予測。
ヘアー・カラーの爆発的人気が日本でもあったから、たぶんこの勢いは日本にもやってくるのだろうか。それともすでに・・・とか?私が知らないだけかも。
ヘアーカラーのテクニックもフランスのヘアサロンからやってきたんだし。この「鏝テクニック」もまさしく。しかしすごいなと思うのは、一本一本、自分の髪に他人の髪がくっついちゃうってこと。どういうテクニックなんだろ。
この番組の前にニュースでもちらっとやってたことがあって、その時、ヘアーサロンでオペレーション中の女性が、このエクステンション、インドから来てるようですが気になりませんか?とインタビュされてて「ぜんぜん気にならない、逆に、ある意味、シャリテ(慈善みたいなニュアンス)だわ」と言っていたのがとても気になっていた。
シャリテと言うが、髪の毛を刈られている人たちは自分で自腹を切って髪を刈って奉献しているのだ。もちろん、刈られた髪を整えたり、選別したりするために工場ができ、そこで働いている人たちは助かっているかもしれない。でも、その人たち以上に、このすべての道を敷いて大もうけしている企業家がいて、いちばん喜んでるのはそういう人たちなのだ。映像がその人々の誇らしげな姿を映し出してた。
寺院関係者は、刈った後の髪の毛をどうしようもないんですよ、って言ってた。ひきとってくれて逆に嬉しいと。そして、髪の毛を刈った人々は自分の髪の毛がどこに行くのかさっぱり知らない。気にも止めてないという雰囲気。
貧しくて、髪の毛を売るというわけではない。つまり宗教的行為として積極的に髪を刈る、お金も払って。その後、「もの」として髪の毛は売られる。