子育てブーム

eireneさんが二回に渡ってフランスの子育てブームについて言及されている。
http://d.hatena.ne.jp/eirene/20051005
http://d.hatena.ne.jp/eirene/20051007


たまたま雑誌「La Vie」の今週号(31p)に関連記事があったので探ってみた。
http://www.lavie.presse.fr/
近年、アイドル、スターが好んで妊娠する、子どもを産む、あるいは養子を得るというある種のブームが起こっていて、それは若い女性の考えに大きく影響してるらしい。
この記事では、91年にモデル・スターDemie Moore(アメリカ)が雑誌のカバーに妊婦裸体として登場した頃から、母性の栄光が女性の間から主張されるようになり、多くのアイドル・スター(マドンナ含む)が彼女に従って、妊婦としての身体を表現するようになったと分析。「女としてのいちばん大事な役割は母性であること」と多くの女性スターが公で発言。同年代の女性たちは、その発言に大きく影響されているという。フランスでも実際、アイドル、スター界では、その「有名性」を保つために、女性が母性として存在していることが必須となっている、らしい。
この記事では、どうしても子どもができなかったため、養子縁組をしたスターのことが書かれている。タイトルは「セレブが母性と韻をふむ」。
http://www.telestar.fr/tele/telestar.nsf/0/DAC2B14D3F828D70C1256A25003BC6BB?open
次の記事は、10回結婚を繰り返しているジョニー(60歳すぎ?)が、今回結婚をしたんだけど子どもができなくて養子縁組したというもの。
http://www.actustar.com/actualite/200411/20041124d.html
で、こういう現状の中で現われてる本がこれ、Bébé attitude
http://www.amazon.fr/exec/obidos/ASIN/2259199666/171-1583024-3373005

「私のもっとも美しい役割は母親であること」若い女優はこう宣言する。妊娠は人前で隠せない。あるいは逆に、妊婦はキラキラ輝く表象として恩恵を得ている。スターたちはそのいい例だ。彼らのまるいお腹は光り輝くスペクタクル、開花としての妊娠は熱狂的な証を言い表す。つまり母性は、もっとも優れた女性の生のモデルとして受肉する、それは最高の女性性なのか?あるいはデコレーションか?母性の讃美という女性の実態は退行を意味するショックなのか?
授乳とか、エコグラフィのイメージとか、将来のお父さんになる人のこととか、出産の心配とか、痛みへの怖れとか、そういう妊娠に潜在するすべての問題・・・ 著者、Muriel Flis-Trèvesは、将来お母さんになる人の日常の経験を照らしながら、マガジン・ピープルが勝利してる現代のコンプレックスについて問題提起する。著者は、心理学者、心理分析家。妊娠の女性の心理ケアーのために働いている。
アマゾンの紹介より私訳

前述のLa vieの記事の中にこの著者へのインタビューが少しあって、そこに、現代の妊娠可能な時期の女性たちが歩んできた歴史についてちょっと触れてたのが興味深かった。1970年以降、いろんな「妊娠をめぐる技術(避妊、不妊治療、中絶など)」が現われて、その頃の女性たちには一般的に「子どもは私が産みたい時に産む」という考えがあった。その頃生まれた子どもたちは、もしかしたら、自分も消されてたかもしれないという潜在的な不安をずっと持ちつづけている。だから、そういう現実も影響しているんじゃないか?と。
というわけで、子育てブーム、奥が深い・・・