鶏が鳴くまでに

karpos2005-03-22

エスはこう話し終えると、心を騒がせ、断言された。「はっきり言っておく。あなたがたのうちの一人がわたしを裏切ろうとしている。」弟子たちは、だれについて言っておられるのか察しかねて、顔を見合わせた。イエスのすぐ隣には、弟子たちの一人で、イエスの愛しておられた者が食事の席に着いていた。シモン・ペトロはこの弟子に、だれについて言っておられるのかと尋ねるように合図した。その弟子が、イエスの胸もとに寄りかかったまま、「主よ、それはだれのことですか」と言うと、イエスは、「わたしがパン切れを浸して与えるのがその人だ」と答えられた。それから、パン切れを浸して取り、イスカリオテのシモンの子ユダにお与えになった。ユダがパン切れを受け取ると、サタンが彼の中に入った。そこでイエスは、「しようとしていることを、今すぐ、しなさい」と彼に言われた。座に着いていた者はだれも、なぜユダにこう言われたのか分からなかった。ある者は、ユダが金入れを預かっていたので、「祭りに必要な物を買いなさい」とか、貧しい人に何か施すようにと、イエスが言われたのだと思っていた。ユダはパン切れを受け取ると、すぐ出て行った。夜であった。さて、ユダが出て行くと、イエスは言われた。「今や、人の子は栄光を受けた。神も人の子によって栄光をお受けになった。神が人の子によって栄光をお受けになったのであれば、神も御自身によって人の子に栄光をお与えになる。しかも、すぐにお与えになる。子たちよ、いましばらく、わたしはあなたがたと共にいる。あなたがたはわたしを捜すだろう。『わたしが行く所にあなたたちは来ることができない』とユダヤ人たちに言ったように、今、あなたがたにも同じことを言っておく。(ここで34、35節、下記引用)。シモン・ペトロがイエスに言った。「主よ、どこへ行かれるのですか。」イエスが答えられた。「わたしの行く所に、あなたは今ついて来ることはできないが、後でついて来ることになる。」ペトロは言った。「主よ、なぜ今ついて行けないのですか。あなたのためなら命を捨てます。」イエスは答えられた。「わたしのために命を捨てると言うのか。はっきり言っておく。鶏が鳴くまでに、あなたは三度わたしのことを知らないと言うだろう。」
ヨハネによる福音書13章21−33、36−38

今日の朗読には、34、35節がない。
ユダから、そしてペトロからも裏切られるイエスが、こんなふうに彼らに命令している。

新しい命令をあなたがたに与える。あなたがたも互いに愛し合うようにと、私はあなたがたを愛した。同じように、あなたがたは互いに愛し合いなさい。あなたがたが互いに対して愛を持つなら、それによって、あなたがたが私の弟子であることを、すべての人が知るようになるであろう。
ヨハネ13章34、35(小林訳、岩波)

とにかく彼は裏切られる。
どのような理由だったのか、なぜユダは彼を裏切ったのか。
この人はパンを受け取ると、ただちに出て行った。夜であった。
どこに行くのか、夜なのに。夜、何も見えない世界に何を求めて出て行くのか。
どのような理由だったのか。なぜペトロは彼を知らないと言わねばならなかったのか。
あなたのためには自分のいのちをも棄てるつもりです。
私のためにいのちを棄ててくれるというのか。あなたに言う。
あなたが三度私のことを否むまで、鶏は決して鳴かないだろう。
知らない、知らない、知らない。それを言わねばならぬのも、また、夜。
裏切られるということ。
裏切るということ。
彼はこうして引き渡されるんだ。
神の子が、このように世に連れ去られる。
・・・
写真は、シャルトル北門の真ん中の天井アーチ。
天地創造の物語と失楽園。エッサイの木。
・・・
さて、わたしは空を仰ぎ見る、
聖なる神殿に入る前に。
人とは何か、なぜ、人をお造りになったのか。
夜空の星が輝いている。
天をおおう星の幕屋。