Is25,6a.7-9;Rm8,14-17;Jn12,24-28

主はこの山で
すべての民の顔を包んでいた布と
すべての国を覆っていた布を滅ぼし
死を永久に滅ぼしてくださる。
主なる神は、すべての顔から涙をぬぐい
ご自分の民の恥を 地上からぬぐい去ってくださる。
主の御手はこの山の上にとどまる。
イザヤ書25章7.8.10、新共同訳)

麦の種が地に落ちて死なないなら、それは一つのままで残る。
だが、もしも死ぬなら、多くの実を結ぶ。
自分のいのちに愛着する者は、それを滅ぼし、
この世で自分のいのちを憎む者は、
それを永遠の命にまで護(まも)ることとなる。
ヨハネによる福音書12章23−25、岩波訳)

きっと彼女は途方もない暗闇を、長い間、一人っきりで過ごしたんじゃないだろうか。誰にも相談できず、悩んで、歯を食いしばって、涙に涙を溺れさせて、さらには頭をふって、今までのことはまったく嘘だと自分を思い込ませたりしたんじゃないだろうか。二つの仮面をかぶった狐につかまった少女。

しかし、彼女は自分に死んだ。どれだけ狐に辱められても、彼女の尊厳がなくなることはなかった。彼女は黙っていない、まるで、これまで通ってきた暗闇に自分のいのちの死を飲み込ませるようにして、新しい、これまで誰も知らなかった彼女の声が立ち上がっているのだ。もう、昔の彼女じゃない。仲間のために生きている新しい人、新しい人間。

「たぶん、この10年間に、私以外の誰かも犠牲にあってると思う、彼らのことが心配です」。セピア色にあせた集合写真、誰が、何をとりはらうというのだろう。もしも覆われたものが、この写真のなかに見えるとするなら、それはとても神聖なる世界であるにちがいない。そして、わたしは、あなたには見えるその聖域の外で、あなたのことを思って、祈っている。

http://fr.news.yahoo.com/041102/202/44i6z.html