兄弟がわたしに対して

アザルヤは立ち止まり、火の中で、口を開いて次のように祈った。あなたの御名のゆえに/我らを決して見捨てることなく、/あなたの契約を取り消さないでください。あなたの愛されたアブラハムと/あなたの僕イサクと/あなたの聖なるイスラエルとに免じて、/あなたの憐れみを/我らから取り去らないでください。あなたはこの先祖たちに、/子孫を天の星のように、/海辺の砂のように増やす、と言われました。ところが、主よ、/我らはどの民よりも少なくなり、/我らの罪のゆえに、今日、全地で/卑しめられています。今や、高官も預言者も指導者もなく、/焼き尽くす献げ物もいけにえも/供え物も香もなく、/憐れみを得るために/献げ物を御前に供える所もありません。ただ、砕かれた魂とへりくだる心をもつ我らを/受け入れてください。焼き尽くす献げ物の羊と牛のように、/幾万の肥えた小羊のように、/今日の我らのいけにえが、/御前に受け入れられますように。あなたに従う我らの歩みを全うさせてください。あなたに信頼する者は辱められないからです。今や、我々は心からあなたに従い、/あなたを畏れ、御顔を求めます。我らを辱めず、/むしろ、寛容と豊かな憐れみをもって/我らに臨んでください。驚くべき御業をもって、我らを救い、/主よ、御名の栄光を輝かせてください。あなたの僕らに害を加えるすべての者が/辱められ/権力の座を追われて面目を失い、/その力が砕かれますように。
ダニエル書補遺アザルヤ、2節と11−20節

そのとき、ペトロがイエスのところに来て言った。「主よ、兄弟がわたしに対して罪を犯したなら、何回赦すべきでしょうか。七回までですか。」イエスは言われた。「あなたに言っておく。七回どころか七の七十倍までも赦しなさい。そこで、天の国は次のようにたとえられる。ある王が、家来たちに貸した金の決済をしようとした。決済し始めたところ、一万タラントン借金している家来が、王の前に連れて来られた。しかし、返済できなかったので、主君はこの家来に、自分も妻も子も、また持ち物も全部売って返済するように命じた。家来はひれ伏し、『どうか待ってください。きっと全部お返しします』としきりに願った。その家来の主君は憐れに思って、彼を赦し、その借金を帳消しにしてやった。ところが、この家来は外に出て、自分に百デナリオンの借金をしている仲間に出会うと、捕まえて首を絞め、『借金を返せ』と言った。仲間はひれ伏して、『どうか待ってくれ。返すから』としきりに頼んだ。しかし、承知せず、その仲間を引っぱって行き、借金を返すまでと牢に入れた。仲間たちは、事の次第を見て非常に心を痛め、主君の前に出て事件を残らず告げた。そこで、主君はその家来を呼びつけて言った。『不届きな家来だ。お前が頼んだから、借金を全部帳消しにしてやったのだ。わたしがお前を憐れんでやったように、お前も自分の仲間を憐れんでやるべきではなかったか。』そして、主君は怒って、借金をすっかり返済するまでと、家来を牢役人に引き渡した。あなたがたの一人一人が、心から兄弟を赦さないなら、わたしの天の父もあなたがたに同じようになさるであろう。」
マタイによる福音書18章21−35

「あなたどこにいるの?」私を探す他者からの問い。
「わたしはここにいます」と答える。この答えは、自己の支えを意味している。
Paul Ricoeur, Soi-même comme un autre, p195

・・・を当てにすると、・・・に責任があるを結びつけるのは、この応答だとリクール。
どこにいるの?ここにいるよ。
わたしはここにいる、ってこと自体、自己維持。
・・・
もういいかい、もういいよ、って鬼ごっこだけどね、
鬼が、隠れてる自分を探しに来る時間、じっと、縁側の下で、黙って、うずくまってる。
口にも脳裏にものぼらないのに、
自己が、わたしはここにいる、って支えてるわけ。
けいちゃん見つけた〜って鬼に言われたとたん、
思わず、あーって叫んでしまう。
自己が瞬間的に他者によって表出してしまう。
その、再驚き。
・・・
赦されたわたし、ここにいる。
どこにいるの?って、探されるわたし。
七の七十倍も赦されたから。