このようなこと

バラムは目を凝らして、イスラエルが部族ごとに宿営しているのを見渡した。神の霊がそのとき、彼に臨んだ。彼はこの託宣を述べた。ベオルの子バラムの言葉。目の澄んだ者の言葉。
神の仰せを聞き/全能者のお与えになる幻を見る者/倒れ伏し、目を開かれている者の言葉。いかに良いことか/ヤコブよ、あなたの天幕は/イスラエルよ、あなたの住む所は。それは広がる谷/大河の岸の園のようだ。それは主が植えられたアロエの木のよう/水のほとりの杉のようだ。水は彼らの革袋から溢れ/種は豊かな水を得て育つ。彼らの王はアガグよりも栄え/その王国は高く上げられる。そして彼はこの託宣を述べた。ベオルの子バラムの言葉。目の澄んだ者の言葉。神の仰せを聞き、いと高き神の知識を持ち/全能者のお与えになる幻を見る者/倒れ伏し、目を開かれている者の言葉。わたしには彼が見える。しかし、今はいない。彼を仰いでいる。しかし、間近にではない。ひとつの星がヤコブから進み出る。ひとつの笏がイスラエルから立ち上がり/モアブのこめかみを打ち砕き/シェトのすべての子らの頭の頂を砕く。
民数記24章2−7、15−17a

エスが神殿の境内に入って教えておられると、祭司長や民の長老たちが近寄って来て言った。「何の権威でこのようなことをしているのか。だれがその権威を与えたのか。」イエスはお答えになった。「では、わたしも一つ尋ねる。それに答えるなら、わたしも、何の権威でこのようなことをするのか、あなたたちに言おう。ヨハネの洗礼はどこからのものだったか。天からのものか、それとも、人からのものか。」彼らは論じ合った。「『天からのものだ』と言えば、『では、なぜヨハネを信じなかったのか』と我々に言うだろう。『人からのものだ』と言えば、群衆が怖い。皆がヨハネ預言者と思っているから。」そこで、彼らはイエスに、「分からない」と答えた。すると、イエスも言われた。「それなら、何の権威でこのようなことをするのか、わたしも言うまい。」
マタイによる福音書21章23−27

どうして、彼は来たのか。
なぜ、私たちが行くのではないのか。
聖ベルナルド

誰かがこのような問いをしてくれた。
びっくりした。
歴史のなかで、さまざまな人が彼に出会い、戸惑い、考えた。わたしもそう。
問題は、主体がないことじゃなくて、主体しかないことなんだ。
もしも主体しかなかったら、そこに他者は存在し得ない。