マリアさま

みどり色の壁とあかい冷蔵庫
静かだ
このアパートの、この一室の
湿った、灰色の光のなかにいると
外と内の間にある薄皮がどれほど脆いものかがわかる
騒がしい声、騒がしい動物の鳴き声
誰かが叫んでいる
誰かが拡声器で祈っている
外はすごいな、こんなに騒がしいんだ
マリアは、外と内の間の灰色の薄皮
その眼差しが薄く、閉じる寸前の開きでわたしを見つめる
(インド、マリアさまはここにも居る!)