ハンス・キュング
ハンス・キュングが全世界の司教に宛てた公開書簡。
英文
Church in worst credibility crisis since Reformation, theologian tells bishops
Le Monde に載せられた仏文
http://www.lemonde.fr/opinions/article/2010/04/17/cinq-annees-pour-benoit-xvi-une-crise-de-confiance-historique-par-hans-kung_1335032_3232_1.html
4月16日はB16の83歳のお誕生日で彼の五年目の記念日にあたる。そのような日に意を決したキュング先生は書かずにはいられない、言わずにはいられないということでこのような書簡を発表されたのか?このような公開書簡というのはどれほどの意味と力を持つのだろう。極東の一カトリック信者として、この内容を読んだ時、自分自身が感じるものに素直になりたいと思うし、まぁ、そうしかできない。
そういうわけでこれを読んでみたのだが、素直な気持ちとして「いいこと言ってるなぁ〜」だった。神学者としての職を剥奪されてもなお、82歳という年齢になって、昔の大学の同僚だった(しかし同僚とはなり得なくなった)「友、かつてのラッツィンガー」に、正直なところの思いを、しかもこのような公開の形で言える・・・それはやっぱり信仰行為とも言えることだ。
キュングもラッツィンガーも公会議では最も若い世代の神学者だった。それが今日では残り少ない最も年寄りの神学者である。この二人がこのような時期にそれぞれのあり方で教会において何かを発言できる立場にあるというのも不思議な話だ。キュングは宗教改革以来の危機に瀕しているとしてこの手紙を書いている。このような状況の中で第二バチカン公会議の精神を遂行すべきと主旨は一貫している。
足りないこと
- プロテスタントとの関係
- ユダヤ教との関係
- イスラム教との対話
- 植民地化されたラテンアメリカの人々との和解
- エイズ予防のための避妊用具の許可と避妊の許可による人口過密軽減の闘いを強いられるアフリカの人々への援助
- 現代科学の平和利用の欠如
- 第二バチカン公会議の精神で改革を推進することの欠如
今しようとしていることへの批判
- ピオ10世兄弟会の原理主義的な司教たちを無条件にカトリック教会へ統合させたこと
- トリエントミサ、ラテン語ミサを復活させたこと
- エキュメニカルで和解のために働いた委員会であったARCI(聖公会・ローマカトリック国際委員会)を利用せず、聖公会の司祭を自分の方に引き込もうとしたこと
- 世界の司教たちと教会内にアンチ公会議の傾向を強めさせたこと
こういうことでB16は世界中の多くの信者から孤立している−と指摘。
で、B16が今こそすべきこと、6つ
上に貼り付けたサイトで原文でぜひ読んでみていただきたい。最後にキュング師がB16に忠告する6つのことほんと大事だなぁって思う。B16に忠告されているんだけど、自分自身の生き方にも照らされる。
- あいまいな秘密主義を避けよ
- 何か思うところあるなら自分から始めよ
- 共同体で互いの意見を出し合い、信じて進め
- 何であっても偶像を信じるな、神お一人に忠実になれ
- マージナルな部分に目をむけよ
- 共に集え
うむ、なかなかいいではないか。
というわけで、B16への忠告、提言なのだけれども、そこにとどまらず、極東の一カトリック信者の生活をも見直させてくれるという意味で私にはかなり意義がある。でももちろんこれはまったく前代未聞な手紙なのでB16がどのように受け止められるかはきちんと見守らなければならない。
スペインの神学者協会の声明はキュングの手紙を支援しさらにその上を行っている:「B16は高齢で現代の危機的状況において公務を行うことはやはり難しいだろうから辞職願いたい」、と。
4月27日の記事↓
http://www.golias-editions.fr/spip.php?article3976
これらの自由な発言がどこから来て、この民をどこに連れて行くのか。言葉はとっても面白い動きがあると同時に危険、両刃の剣。識別が必要・・・