volver

観てなかったVolverも観た。

アルモドバル監督では「アール・アバウト・マイ・マザーTodo Sobre Mi Madre (1999) 」、「バッド・エデュケーションLa Mala Educación (2004)」を観た。
世の中にありそうな話を構成した映画、あるいは実話を映画化でもいいけど、どれも話が先行して、映画がつまんないということが多い。アルモドバル監督の映画って何しろ映画自体が面白いので、見ている間はどちらかというとファンタジー(2時間があっという間)、逆に、終って、しばらくして思い返しながら、「え、こういう話ってあるかもね」という気持ちになる。
で、このvolver(帰郷)なんだが・・・
ちょうど次の日、生命倫理の会があって、この話が取り上げられた。

9歳少女中絶問題関係者ら破門 教会の冷酷な対処に非難噴出

 ペルナンブコ州で五日、妊娠が発覚した九歳の少女に中絶処置を施し「教会法に背いた」たとして、関係者らに破門を言い渡したジョゼー・カルドーゾ・ソブリーニョ大司教レシフェ・オリンダ教区)への非難が集中している。

 少女は、同居の継父(二三)に強姦されて双子を妊娠。二月末、腹痛を訴える少女を母親が病院に連れて行ったことから妊娠が発覚した。

 既に妊娠十五週目に入っており、身体が未発達な低年齢での妊娠は子宮破裂などの危険もあることから、母親や担当医師らの判断で中絶手術が施された。

 カトリック教では、中絶は自動的に破門。教会法に則って、母親ら関係者を破門した大司教は、「強姦は大罪だが、中絶はそれに勝る大罪」とし、しかるべき処分とのコメントをしている。

 一方、ある女性保護団体の代表は、「一人の少女の命が宗教的思想より劣るとは言語道断」と大司教を激しく非難。

 手術を行なったアマウリー・デ・メデイロス総合保険センターのファッチマ・マイア所長も、「性的暴力から女性を守るのは当然」とし、破門処分を受けたことについても「全く後悔していない」と話している。

 被害者の権利を無視した今回の教会側の処分は、世論のさらなる反発を招くことが予想される。

 なお、少女の継父は、三年間に渡って性的虐待を繰り返したほか、身体に障害を持つ少女の姉(一四)にも性的虐待を加えたとして、六日逮捕された。
2009年3月12日付け
http://www.spshimbun.com.br/content.cfm?DA_N_ID=12&DO_N_ID=28356

Volverではこのような形での教会権威は現れてこない。
ただ強姦される少女の周辺にある家族関係、地域的な因習、宗教、宗教的タブーが、人間模様、人々の表情の中に散りばめられる。出生という事実がどれほど歴史的であるかということを思い知らされる。上のようなニュースもこの映画を観たら人間の実人生の動力(底力)の次元からとらえられるんでは?
たまたま次の日に倫理問題の議論があったので、あらためてアルモドバルの映画はファンタジーではないと思った・・・
あと、スペイン語ってとっても熱いね!日常の日本語をスペイン語調で会話してみたら、どれほど毎日が激しくなるだろう・・・