Troubadour


5月8日、夏山美加恵Chanterai por mon corageとご主人のルネさんの演奏会「アンサンブル・ラルバ:ソプラノとリュートで紡ぐ『中世の愛の歌』」に行って来た。2008-04-22 - 新生★KARPOSもう、二週間も前ではないか...この二週間、あっという間に過ぎたといえばそうで、逆に、なんだか時間が止まってしまったような感じでもあったので、あぁ、うぅ、ことばにならない。時間がぐにゃ〜となってる感じ。もしかすると、あのトルバドゥールの歌を聴いて以来、「中世時間」に入ってしまってたのかもしれないな。
演奏会の後、みかえちゃんがサンフォニーという楽器をぐるぐる回しているところ。
この楽器がことのほか強烈で、体感的に中世の音要素を味わうことが出来たような気がする。この箱のなかには弦がはってあって、その弦に筒状のいわば弓にあたるものがあたってて、外の取っ手をまわすことによって、途切れなく同じ音が流れているという状態になる。
先だって行われた講師のみかえちゃんによるグレゴリオ聖歌の歌い方と即興アンサンブルのためのセッションでもこの楽器は大活躍だった。この楽器で基調音をならし続け、その音を聴きながらというか、その音に軸を置きながら、詩のことばアクセントの高低で口から語られメロディーが生まれていく。
とにかく、驚きだった。
だって、メロディーないのに歌になっていくんだもん!
講習会では、ただ、ただ、詩を読むばかりだった。なのに音楽だった。
Troubadour(トルバドゥール)とは11−13世紀に南フランスに出現した詩人たち。結局、みかえちゃんご夫婦がInterpretationされようとしているのは、トルバドゥールという人間たちの≪生≫なんだな。世間でいう「中世音楽」「リラクセーション・ミュージック」「癒し〜」というイメージはまったくない。

日本語では吟遊詩人とも呼ばれる。
彼らの公用語オック語(Langue d'oc−ラングドック)というものであった。
トルバドゥールのほとんどは貴族出身の騎士階級であり、
中にはちょっとした領土を抱える王族貴族もいた。
彼らは武芸だけでなく文芸にもかなり優れ、詩作しそれを歌い上げる教育を受けていた。
封建社会に生きた彼らの間ではある一種の優雅な社会的流儀が広まり、
それはfin amourフィナムール「洗練された愛」と呼ばれた。
・・・プログラム・ノートより

狂おしく、しかし純粋な愛...
第二部「聖母のトルバドゥール」は理想の愛と現実の愛の境界線がない、この世のものでありながら、天上界のような、なんとも形容できぬ感動的な時間だった。これが、中世というものなのか。トマス・アキナスとか読むとなんだかわからないでもないような気がするんだよね。自然界というものは超自然(超越)と切り離すことが出来ない。
世が超越に志向しつつ、超越が世に自らを開く、そんな感じ。
夏に、CDが出来るらしいヨ。ここでもまた宣伝するね!