たらいの水

事が起こったとき、「わたしはある」ということを、あなたがたが信じるようになるため・・・

たらいに汲まれた水に
その足が静かにすべりこんでいく
足の汚れが水に溶ける
なにか、汚さとか、やるせなさとか、
自分の見たくない部分まで
水が包みこんで
浄められる


彼は、わたしがしたように、あなたがたもそうすることだって
いともたやすく言って、ほんとうにそうして
ほんとうにやって見せてくれて、こういうことなんだって教えてくれた
そういえば、あの日も、たらいに水が汲んであった
手ぬぐいもあった