Edith Piaf

C新聞社編集Mさんおすすめ映画、観てきました。行ってよかった。
2時間以上の映画があっという間。ピアフの歌声も聞けたし仏蘭西の風景も見られたし満足です。しかしあんなに若くしてからだを悪くして逝ってしまったとは知らなかった。しかも波乱万丈の人生。ちょっと美空ひばりを思い出した。やっぱり「歌い手」ってかなりな人生になるんだなぁ。ドリームガールズもそうだったけど、どうしてあぁ売れちゃうとどこか不安定(という言葉が正しいかどうかはわからないけど)になるんだろう。というか、売れて不安定になるんではなくて、もともと不安定だったところに売れちゃって(=才能を見出されて)、さらに不安定になったというのかな。路上で生まれたかもしれないという始まりから、売春宿での幼少期の生活、父親との大道芸の旅・・・(ネタばれや)。しかし生命力に溢れている彼女の姿に人間の面白さを感じざるを得ない。いや、ほんと、人間ってすごいって思う。多かれ少なかれみんなすごいって思うんだな。
わざわざ映画を観てそう言ってるわけじゃなくって、映画によって確認させられるっていうか。そういう確認をさせてくれる映画って「やっぱり映画っていいですね」(という台詞あったね)じゃないけど「映画ってありがたいですね」って思っちゃうんだな。Mさんは久しぶりに映画らしい映画を観たっておっしゃってた。うん、わかる。そうなんだよね。
モルヒネを打ちながらの最後のヒット曲je ne regrette rien.1961年46才。


映画でもそう描かれていたけど、彼女は自殺的行為のように弱ったからだをおしてコンサートをしていた。その辺りのインタビュー。彼女は「歌なしの人生なんて考えられない」って言っている。歌えなくなったら死ぬしかない。愛なしに生きられないように歌なしでも生きられない。歌えなくなることが怖い、と。このインタビューは復帰の前なのか、今から歌うんですね、怖くないですか?って聞いている。もちろん怖い。でも永遠に歌えるわけじゃないでしょ?というインタビュアの問いかけに一瞬つまって「いやわからない」。そうして彼女は12月の誕生日を前に1963年11月47才で逝ってしまう。
Je ne regrette rienはもう仏蘭西のうちの仲間だと100%が知ってる歌だった。短い歌だし歌詞も覚えやすい。語学を勉強してたとき下手ながらも覚えた歌を歌っていたら必ずみんな一緒に歌ってくれた。多くの歌手もずっと歌い継いできたんだろう。
とにかく波乱万丈の人生の最後に「Je ne regrette rien 私は絶対後悔しない」なんて歌を歌うって事自体がドラマチックである。歌っているその人の人生をすべてこの歌詞の中に反映させられる。そうなるとそこで歌っている歌手は証言者となるんだな。歌詞が作られた架空の物語ではなくて、本当の物語のように迫ってくる。美空の「川の流れのように」もそうだった。

そんなふうに考えるとけっこう歌手って人生を反映させるような歌を歌ってるかもしれぬと気づく。