ニューエイジ


昨日の朝日新聞に「あらまカトの記事が載ってるわ」と思ったら昨日から「ニューエイジについてのキリスト教的考察」で検索して来られる方がぞくぞく。うむゾクゾクするなぁ。
前に書いたのは、2007-05-24 - 新生★KARPOS
あの時は長い引用をしてニューエイジキリスト教の信仰の微妙な違いを考えてみようとしたんだな。でも、結局のところ、何が違うのか?という問いに「これ」が違うとはっきり答えることにそんな意味があるのか?と問うたほうがいいのではないかとも感じる。あの引用を読んでも、そういった神さまの内在性、外在性ったって、両方じゃん!ってことになるわけだ。そういうことじゃなくて、もっと大事なことがあるんだろう。
そういう意味で今回の朝日新聞の記事、大事なところをフォローしておられるような気がする。

ニューエイジ」に警戒強めるバチカンの報告書邦訳
2007年10月09日10時52分
http://www.asahi.com/culture/news_culture/TKY200710090078.html

 約10億のカトリック信者を抱えるバチカンローマ法王庁)が、教会離れを促す一因とも見られる社会現象「ニューエイジ」に警戒を強めている。日本ではこのほど、法王庁の調査チームが発表した報告書の邦訳が出版された。「教会に対する挑戦」というニューエイジとは――。

ニューエイジについてのキリスト教的考察』

 「新しい時代」を意味するニューエイジは、70年前後から米国で起こった宗教的な潮流。特定の宗教とは関係なく「本当の自分」を見つけようとする考えや実践の総称で、見えない何かにつながる感覚(スピリチュアリティ)がしばしば重視される。

 瞑想(めいそう)やヨガ、セラピー、東洋医学、さらには地球を一つの「生命体」と見なす環境運動までさまざまな形をとる。研究者の間では近年、従来の宗教の枠に収まらない宗教意識の表れとして注目されている。

 衣食住が一通り満たされた先進国を中心に展開、日本でも「精神世界」として70年代後半から広まった。最近、「スピリチュアル」と呼ばれる大衆文化にも、この流れをくむものが多く含まれる。

 日本のカトリック中央協議会が出したのは『ニューエイジについてのキリスト教的考察』。原文は法王庁の文化評議会などが03年にまとめたもので、もともとは聖職者に向けた内容だ。ニューエイジが一部の信者に影響を与えているとの危機感もあり、「真正なカトリックの教理」を見失わないようにと呼びかけている。

 興味深いのは「ニューエイジ的宗教性の魅力を見くびってはなりません」と警告し、人々の「心の渇き」に応えてきただろうかと自らを振り返っているくだりだ。

 「ニューエイジの成功は、教会に対する挑戦ともなっています。人々は、キリスト教が自分たちの本当に必要とするものを与えてくれない(あるいは少なくとも与えてくれなかった)と感じています」。そのうえで、「人々の心の中のしばしば声を発することのない叫び声を理解すること」が必要と説いている。

 現代は「真の意味での権威」が失われたとも述べている。「人々はさまざまな制度に『帰属』する必要をますます感じなくなりました(にもかかわらず、孤独は現代人の大きな悩みの種です)」。地縁・血縁の共同体が壊れゆく日本では宗教者だけでなく幅広い層の関心を呼びそうな話だ。
 バチカンは04年に各国代表を集め、ニューエイジに関する会議を開くなど情勢分析を進めている。会議に参加したカトリック中央協議会の岩本潤一研究員は個人的な見解として、こう語る。

 ニューエイジに吸い寄せられる人には、教団宗教に対するアレルギーがある。その事実を直視しなければいけない。今回の報告書は、自己批判としてのニューエイジ批判と言えるだろう」

太字のところ、ここが注目点!
実は、神学者や教会を世話していると自負する宗教者はこういうことをストレートに言わない。というか、言えない。自分も含め、自戒をこめ、これは反省なんだけど、こういう全体的でかつ現代人間が直面している問題の把握をシンプルにできないという限界がどうしてもまとわりついているのだ。何かしら、「重箱の隅」的な議論にはまりこんでしまう習性があるんだな。
たとえば、ニューエイジって話になると、前回、私が引用した箇所のように、「キリスト教ニューエイジ何が違う?」みたいなところに目がピシャーっと行ってしまうのだ。教皇庁の出している本だから、当然、教義的な議論も盛り込んである、しかし、上記の引用のようなそうじゃない部分もたくさんある。こういう場合、同じ本でも違う人が読めば、読む視点も違い、引き出される意味も違ってくる。
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それはそうと・・・
カトリックは土地にある信仰に土着しながらでしか生きていかれないキリスト教なんだと思う。
それぞれの土地といった場合、現代このグローバリズムの世界にあって「土地」という概念が変容し、それに伴って「土着」という意味も変容しているはず。「ニュー」とかいってまるで真新しいもののように言っているけれど、本当は綿綿と続く世界という土地にある信仰・宗教なのかもしれないのだ。7章の「ニューエイジ用語解説」に選ばれた用語はどれもけっして「ニュー」じゃない。
付記しておく:
ニューエイジ用語解説で用いられている用語

意識の拡張/一元論/ウィッカ/生まれ変わり/エゾテリスム/エニアグラム/大いなる白色同胞団/オカルト主義/加入儀礼/カルマ/キリスト/グノーシス/クリスタル/シャーマニズム/進化/深層心理学/神智学/人智学/神秘主義スピリチュアリズム/地球的意識/チャネリング/超越主義/超心理学ニューエイジ音楽/ニューソート/ネオ・ペイガニズム/薔薇十字団/汎神論/ヒューマン・ポテンシャル運動/風水/ヘルメス主義/ポジティブ・シンキング/ホリズム/みずがめ座の時代/リバーシング/両性具有

たぶん、20世紀が過ぎて、なんだろーなんだろーとわからなかった世界がなんとなく見えたねってところで、あぁ、ニューエイジってこういうものだったのねっとか言ってまとめたのがこの本なんじゃないか。教会が「みんなー!これ、ニューエイジだよ、新しいよ、気をつけてよー」と言ってる頃には、教会自身、ニューエイジにものすごーく影響されて今に至っているのではないか、って帰結も想像できるのだ。