なんでもない花

歩してて川のほとり、なんでもない花を見つけて携帯で写真を撮ってみる。
携帯でって、結局、携帯の写真機しか持ってないんだけど、それでもきれいに撮れるものだな。そう、それで、この花の名前がなんなのか、家に帰ってうちの仲間に聞いてみると、「黄色いコスモス」って言うんだと言う。そんな名前の花あるの〜?と疑うと、あるんだから〜と言って、花図鑑を持ってきた。え〜、Kさん花図鑑なんて持ってたの〜?なんて別の仲間が言う。パラパラとめくりこれだねと指したものは「黄色いコスモス」なんて名前じゃなかった。しかも花びらが違う。ちがうちがう、花びらがなんとなく切れてるんだから〜。結局、花図鑑の中には見当たらなかった。黄色いコスモス、まさかね。
川のほとりにいっぱい咲いてるなんでもない花。
むかし、友人と一緒にご飯を食べていたときだった。小さな花が花壇にいっぱい咲いている絵葉書を見て、わたし、この中の一つの花になりたいと、以前はそんなことを言うはずもなかった一人が言った。まるでバラのような人なのに不思議だなと思った。あれからだった、彼女はだんだんと花壇のなかの一輪の花になっていった。そう、なんでもない花になった。
なんでもない花は、なんでもないってところに実は強みがある。もしも、なにがしの花だったらなにがしであらねばならんだろう。それはそれでしんどいものなんだよね。なんでもない花は、なんでもなく、でも、ただ咲くってことに集中してたらいい。なんでもなく咲ける。
そういうわけで、なんでもない花が好きになって良かったなと思う。黄色いコスモス?まさかね。