Le soleil

karpos2006-03-10



これで雰囲気が見られます。
http://www.ocean-films.com/lesoleil/

そう、だから、映画が終わり、
イッセイ尾形演じるHirohitoの人物像に、innocent,indiffrént,irresponsableって思ったわけだけど、はるるさんと話してて、この映画には見えてない彼の役割というか、そういうものを教えてもらい、ま、考えさせられました。なにせ、私の思い出にあるテレビの中で手をふってる姿を思い出すと、この映画で演じられてる人そのものとしか言いようがないですからね。イッセイさん熱演ありがとうございます、という感じです。

最初のあたりでHirohitoが「ローマ法王に書いた手紙の返事はまだかな」って執事に聞いたところ「枢機卿のところで止まってるんでしょう」という答え。悲しくなりました。メトロであの場面きついよねーって話してて、あの頃の教皇は「ピオ12世」だったと思い出し愕然としてしまいました。JPIIじゃなかったのよね(あたりまえだけど)、この辺りももう戦前の話になると私なんかかなりキツイ、戦前の教会史に慣れてない証拠だと。

いや、なんというか、象徴なんとかという言葉がありますが、この「象徴」が別の意味で私にはグサグサきました。彼は「臣民の平和を・・・」と言いながら、ものすごい惨禍の塀の中でホルマリン漬けになったカニ海洋学研究)を眺めているわけです。いやはやこれは私の姿ではないか?と問いかけられましたね。イッセイさんは素晴らしく演技されてるのでほんとは笑えるはずなのですが、さすがに笑えなくなりました。

結局「まなざし」の問題に行き着くんじゃないかと思うんです。イッセイさん演じるHirohitoの目はとてもやさしい。まるですべてに微笑みかけているように見える。けれどもまったく逆説的に、そのまなざしが投げかけられる側、彼にとっての他者、臣民たちは、ひれ伏すか、炎の中で死んでゆくかしかないわけです。人を神のように祭り上げた結果は明らか。

「私のからだはあなたのからだと同じからだでしょう」と彼は執事に聞く。もともと自分を自分で神だとは思っていなかった、まわりが祭り上げただけ、その辺りはものすごく良く描かれていて、だからこそ悲しさも増す。

ル・モンド評の中の監督へのインタビューから抜粋
http://www.lemonde.fr/web/article/0,1-0@2-3476,36-746037@51-743408,0.html
"Pour Hitler, le pouvoir absolu, que le peuple lui a volontairement offert, était aussi une drogue absolue. Lénine, du fait de sa maladie incurable, fut presque à même de prendre conscience de l'horreur de l'impasse historique dans laquelle il avait plongé le pays de ses propres mains. Mais, comme on dit, il était tard, trop tard." Hitler et Lénine sont deux images du totalitarisme moderne. Hirohito se situe dans une autre logique, liée à la nature de sa souveraineté politique. "Dans Le Soleil, déclare le cinéaste, je montre un personnage dont le caractère est très différent des précédents - un homme plus européen qu'on pourrait s'y attendre. Plus que de politique, il était passionné d'ichtyologie (étude des poissons), il s'y consacrait alors même que les Américains avaient pénétré sur le territoire du Japon. C'est une personnalité très intéressante. Seul un homme comme lui, un homme avec une motivation différente, peut, dans la situation la plus critique, trouver une issue humaniste à la situation. Aucun politicien, ni avant ni après lui, n'a su trouver cette issue humaniste. Dans ce film, aucun homme n'est faible."

「Hitlerは絶対的権力を、Lenineはほどこしようのない病気で、この二人は20世紀絶対主義の象徴。Hirohitoはその二人とはぜんぜん違う。思った以上にヨーロッパ的、政治以上のもの。彼だけが、あの状況の中で人間的な突破口を見出せた。どの政治家も、彼の前も後も、誰もこのような人間的な解決策に至っていない。この映画には弱い人間は誰一人としていない」。

ほんとにそうで、ナマズをつかんでるような感じがするわけです。彼はわるくない、彼は平和を願っている。屈辱をすべて飲み込んで、「人間宣言」をし、雑誌掲載のために写真を撮らせ、自分を無化するように子どものふりをする。そうやってマッカーサーの目をくらましているのではないか、ともみえる。しかし、なぜ・・・がどうしてもぬぐえない。これが「日本的やり方」といえば、うなづける私がいる。じゃ、彼はあんなに弱そうに見えて、強いのか?

すっごい複雑。

去年すでにロシアで賞を取られてることを「木走日記」さんで知る。なんと!
木走日記id:kibashiri
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20050630

日本では来春公開のよう・・・
映画をめぐる怠惰な日常id:molmot
http://d.hatena.ne.jp/molmot/20050929/p2