日本、廃墟のもとで

LE JAPON SOUS LES DECOMBRES http://www.arte-tv.com/fr/semaine/244,broadcastingNum=477863,day=5,week=39,year=2005.html
ARTEの歴史特集番組、先週の続き。

外地から600万人が日本に戻ってくる。中国から、東南アジアから、シベリアから、市民も兵隊も、どんどん戻ってくる。戦争直後に戻ってこられた方の証言、1950年代に戻ってこられた方の証言、何を見て、何をして、何にびっくりして、何を食べて。しかしどの方も、60年前の記憶を鮮明に覚えておられるものですね。731部隊から帰ってきたと証言する方もおられた。「洗脳されていた、確かに洗脳されていたと皆も自分に言ったし、私も思う。けれども、だからこそ、人間としてここに戻ってこられた」と。サイパンで死んだことになっていた人も帰ってきた。「夜には戻ってこないでくれ、幽霊だと思われるからって言われましたよ」。皆、舞鶴に戻ってくる。皆、疲れきってる、でも、ふしぎに目がやさしく笑っているように見える。港で、駅で、皆に「よく帰ってきてくれた」と迎え入れられたことが、どれだけ嬉しかったかと語るおじいさんたち。
アメリカが凄い。廃墟の東京を、焼け野原の広島を、3年で普通の街にした。もちろんアメリカの力だけじゃないけど、アメリカの何が凄いって規制力というのか、民主主義(自分)の体制にするために何から何まで作っていく。廃墟の沖縄を更地にして道路を敷き、あっという間に街ができる。学校、病院、組合運動、どんどん建てる。マッカーサーアメリカ大使館から皇居に毎日、三年間、自動車で同じ道を通う。引揚者の規制を厳しくなる。誰が、どこから来たのかもチェック。農村では農業の近代化を、都会では共産党運動の制御を・・・。1951年、正月の昭和天皇のお出まし、バンザイをする市民たち。
しかし、東京大空襲で80%が壊滅してたっていうのは、ほんとうに灰になってしまったということだったんですね。それも3年で廃墟なし。この繁栄の裏でものすごい数のホームレスの人々があふれてる。とはいえその人達も悲惨じゃないと言う。戦争の時に比べたらどれだけいい時代がきたか。将来の希望だけを見ていた時代。
アメリカの影響を全面に描いたドキュメンタリなので、まぁ、そういうことなわけだけど、番組最後の今も昔も日本が沈黙してる・・・というまとめ方にはちょっと不満が残る。アルテって結局、日本を描く時、ミステリアスな部分を残したがるような気がする。
どうなんだろ、今年は戦後60年ということで日本でも未公開のフィルムが放映されているのだろうか。冒頭では、これから東条英機ら重要人物がこれから裁判に向かう前にに団欒してるところなどが出てた。以外と和やかな雰囲気でびっくり。こういうフィルムは歴史資料としても大切なんだろうなと思う。