驚き

仲間の一人で、3ヶ月前に叙階されたばかりの若手神父がミサの説教をしてくれた。
ルカ福音書、イエスが子どもを呼んで、最も小さい者こそ、
最も偉い者であると言った場面。

弟子たちの間で、自分たちのうちだれがいちばん偉いかという議論が起きた。イエスは彼らの心の内を見抜き、一人の子供の手を取り、御自分のそばに立たせて、言われた。「わたしの名のためにこの子供を受け入れる者は、わたしを受け入れるのである。わたしを受け入れる者は、わたしをお遣わしになった方を受け入れるのである。あなたがた皆の中で最も小さい者こそ、最も偉い者である。」そこで、ヨハネが言った。「先生、お名前を使って悪霊を追い出している者を見ましたが、わたしたちと一緒にあなたに従わないので、やめさせようとしました。」イエスは言われた。「やめさせてはならない。あなたがたに逆らわない者は、あなたがたの味方なのである。」
ルカによる福音書9章46−50

その神父は説教になると祭壇の前に出て、
今日の福音を一言で表現するなら「驚き」って言葉になると思うと言った。
エスの周りにいた弟子達の驚いた表情、
エスに手を取られて、そばに引き寄せられた子どもの表情、
彼のまわりにいる者、ひとりひとり、
いったいどういうことかと、驚いたんじゃないかって・・・
そうして、私たち仲間が置かれている実際的状況に、
どういう驚きがあって、また、どういう驚きが待っていることかと、
話を続ける。
そして、この福音を、
哲学者であり、神学者であり、また教育者である一人の人間が、
どう聞くだろうかと。
驚きながら、すべての事象をもっと深く見つめる勇気を受けるんじゃないかと。
目の前で自分の説教を聞く恩師、彼がまさに、哲学者であり、神学者・・・なのだ。
大きな息が二つ続けざまに聞こえる。
喉から湧き上がるため息が、
まるで「そのとおり」「そのとおり」と言ってるように、
聞こえた。
恩師のため息。
私たち皆、その息に吹かれた。